[21_21 DESIGN SIGHT] × [1:意匠]

「一枚の布」をイメージしてデザイン

世界的に著名な建築家の安藤忠雄による設計

21_21 DESIGN SIGHTは三宅一生(※1)、佐藤卓(※2)、深澤直人(※3)がディレクターを勤めるデザイン・ミュージアムで2007年に開館しました。デザインの専門家だけでなく、一般の方々にも人気で、展示によっては行列ができるほどです。
建物は世界的に著名な建築家の安藤忠雄(※4)が設計しました。
東西2棟にわかれていて、東側がギャラリー1、2とショップやオフィス、西側はギャラリー3です。館内で両館を行き来することはできない構成になっています。
いずれも隣接する東京ミッドタウンの超高層ビル群とは対照的に低層の建物になっていて、少し地面が低い位置にある北側の住宅地とも馴染むよう配慮されています。高さを低くおさえただけではなく、平面的にも地上に見えている部分は最小限におさえられていて、実は前庭の芝生の下にも建物があり、地下に降りていくと意外なほど広い展示空間が広がっています。
その構成は、香川県の直島に位置する地中美術館(※5)など、安藤のほかの建築と共通していると言えます。※1:三宅一生(1938年-2022年)は世界的に活躍した日本のファッションデザイナー。1971年にブランド「イッセイミヤケ」を立ち上げる。1枚の布という和服などの伝統から発想した服作りで注目を集めた。文化勲章やフランスのレジオン・ドヌール勲章コマンドゥール等を受賞。
※2:佐藤卓(1955年-)は東京都出身のグラフィックデザイナー。パッケージデザイン、グラフィックデザイン、アートディレクションを中心に活動する。1984年、佐藤卓デザイン事務所を設立。2023年現在、TSDO代表を務める。
※3:深澤直人(1956年-)は、山梨県出身のプロダクトデザイナー。2023年現在、日本民藝館館長、多摩美術大学統合デザイン学科教授、良品計画デザインアドバイザリーボード等を務める。
※4:安藤忠雄(1941年-)は国内外で活躍する建築家。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設立。国内外で多数の受賞歴があり、1991年ニューヨーク近代美術館、1993年ポンピドー・センター、2017年には国立新美術館にて個展が開催された。イェール、コロンビア、ハーバード大学の客員教授を歴任し、2023年現在、東京大学名誉教授。
※5:地中美術館は瀬戸内海の離島・直島に位置する美術館。安藤忠雄による設計で2004年会館。ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレル、クロード・モネの3名の作品を恒久展示している。

三角形の大屋根が特徴的なデザイン

この建築を特徴づけているのは三角形の大屋根ですが、これは三宅一生のコンセプトである「一枚の布」をイメージしてデザインされています。
東側の本館側の屋根は長さが54mあって、巨大な一枚の鉄板が構造材かつ仕上げ材として用いられています。2021年に早稲田大学吉村研究室で『ルール?展』(※6)に出展した際には、この建物を規定しているさまざまなルールについて、建物を原寸の展示物とみなしキャプションをつけていく『21_21 to “one to one”』という展示にしました。
以降のテーマでは、21_21 DESIGN SIGHTについてお話する内容はその時に調べたものが中心になります。※6:2021年7月2日〜11月28日まで21_21 DESIGN SIGHTで開催された展示。法律家の水野祐、コグニティブデザイナーの菅俊一、キュレーターの田中みゆきの3名が展覧会ディレクターチームとなり、新しいルールの見方・つくり方・使い方と、これからの展覧会のあり方をともに考えた。